◎ 午後茶会 ◎
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No.2

「一体奴は何を企んでるんだろうな」
行儀悪く足を組みシリウスは、封筒をひらひらさせながら呟く。
そんなシリウスの様子にピーターは激しく同意する。
「罠なのかもしれないよ。お礼とか言って、きっとまた何か変なもの盛るつもりなんだよっ」
「ありえなくは、ないよな……」
呟くように言い放ちシリウスはちらっと、ルーピンを見やった。
「言葉の通りじゃない?」
ルーピンは招待状を眺めながら言う。
指の先で丁寧に書かれた文字を撫で、鼻を近づけ大きく息を吸い込む。
かすかに薔薇の匂いがすると言ったルーピンにシリウスは鼻に深くしわを刻み、よせっと怒鳴った。
びくとピーターが肩をすくませる。
彼は人の大きな声、不機嫌が大の苦手だ。
「大げさだなぁ」
「大げさじゃない!……もしそれに何か仕込んであったら……危ないだろう」
「何もないよ……スネイプは本当にただあの時のお礼がしたいだけなんだよ。ね、ジェームズ」
「……あ、ああ。俺もそう思う」
ルーピンと自分の言葉にシリウスは不機嫌に眉を上げた。
「そんなこと分かるもんか!あのスネイプが素直に俺たちに礼なんか言うもんか!」
吐き捨てるように言うシリウスにルーピンはそんなに疑うもんじゃないよと、スネイプをかばう発言をした。
シリウスはますます不機嫌になった。
自分の隣でピーターが大きく深呼吸を始める。
シリウスはその様子に気が付くと、大きな声を出して悪かったと謝った。
「行く、のか」
探るようなシリウスの声音がルーピンに掛けられる。
「せっかく招待されたんだもん。……僕はそのつもりだよ」
「……」
シリウスは何か言いたそうな顔をして、黙った。
「ねえ、シリウス、何か僕に言いたいこと、あるんじゃない?」
「……べつに、何にも……ない」
「……ほんと?」
「……」
シリウスは黙ってルーピンから視線を逸らせ、招待状を懐に押し込んだ。
「あるとすれば、早いとこレポート終わらせちまいたいってことかな……」
「……うそつき」
かすかに呟いたルーピンの言葉が聞こえていたはずだが、シリウスはそれに反応せず、再び羽ペンを走らせ始めた。
「……」
ルーピンは両目をしかめシリウスを眺めていたが、小さくため息を付くと隣に腰掛け、同じようにペンを動かし始めた。

あの事件以来、なんとなくルーピンとシリウスの仲はしっくりいっていない。二人がお互いを避け合っているように感じる。代わりにピーターがシリウスに急接近している。

あの事件。
それは数ヶ月前、自分とスネイプが決闘の末、クィディッチ競技場を水浸しにしたとされる事件だった。
真実は少し違うが、公にはそうなっていた。

暫くはこのままなのかもしれないな……。
むっとした顔のルーピンと無表情のシリウスを横目で見ながらジェームズは思った。

二人のことも気になるけれど、招待状を貰ったことがうれしくて、思わず顔がニヤケそうになる。

まず、最初にスネイプは自分に招待状をくれた……。
彼が、何故自分を嫌っているか、そのわけを探って、誤解を解いて……もしかしたらこれがきっかけで友達づきあいが始まるかもしれない。
そう思うとルーピンたちを前に不謹慎だが笑みが止められない。

ジェームズは羽ペンをとり、自分も課題をやり始めた。

スネイプはなかなか一筋縄じゃいかない。
彼は結構頑固で、いったんこうと思い込んだらなかなかそれから離れられない。
せっかく舞い込んだ誤解を解くチャンス。慎重に使おう。
「……」
少し作戦を練る必要がある。
親愛の情も込めて少しスパイスの効いたのを用意してやろう。
でもあんまりやり過ぎないように。

「……」
にやける口元を覆いジェームズ。
レポートはかつてない速度で進み、課題を出されてから二日で仕上がった。
ここ暫く上機嫌なルビウス・ショーは早く仕上がった御褒美だと、提出に行った自分たち四人に四回目の金メダルを獲得した飴をくれた。


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