◎ 午後茶会 ◎
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No.0

ハッフルパフの誰やらが、ルビウス・ショーの授業中、『材料刻みを手伝ってもらっていた』ことが発覚した。

私語には寛大だが、自分で課題をこなさない生徒には容赦のない居残りを科す先生はこの事実にひどく腹を立てた。

「人にはそれぞれ向き不向きがある。それは私も認めよう。君たちが腹の底で魔法薬学など将来なんの役にも立たないと考えていたとしても、それは君たちの自由だ。表にさえ出さなければいくらでも容認しよう。だが、しかし、今現在学生の君たちは、このホグワーツ魔法魔術学校に入学した以上、卒業までの七年間を出来うる限り勤勉に過ごす義務がある。この私の授業でみじん切りが上手くゆかないからと人の手を借りるなど言語道断!」

魔法薬学担当教官ルビウス・ショー。
通称・気分屋ショーは、機嫌の良いときは比較的公正な判断を下してくれるがこのときはお世辞にも機嫌が良いとは言えなかった。

間の悪い、と言うのはきっとこういう事を言うんだろう。

先生はふくろう便を待っていた。
そのふくろうが運んでくる文書の内容が気になって、ここ数日イライラしていた。

ルビウス・ショーは機嫌が悪いと生徒に八つ当たりをする大人気ないところがあった。
そして今回ハッフルパフ生はショーの信念とも言うべき『生徒のあるべき授業態度』に違反してしまい、逆鱗に触れた。

当事者と材料刻みを手伝った生徒はそれぞれ五ガロンずつ計十ガロンの中和剤を作ることになった。それは毎日放課後、就寝までの時間を目一杯使ったとしても優に五日はかかる作業だった。

提出期限は来週末と先生が告げると、生徒の間からどよめきが走った。
来週は聖人パトリスのお祭りがある。
学校は五日間授業がお休みになる。
そんな中を陰気な地下牢教室にこもって鍋とともに過ごすなど考えただけで気が滅入る。
だが先生の怒りはそれだけでは収まらなかった。
不始末をしでかした生徒と同じ学年の者は寮に関係なく新学期から今まで授業で取り扱った課題を羊皮紙十巻き分すべてレポートせよ、と先生は告げた。
そして杖を取り出し大きく振って『開封厳禁』の呪文を全寮生の魔法薬学の教科書にかけた。
無理にあけようとすると、教科書は大きな悲鳴を上げる。
だから不正(?)を働いても一発でお見通しだという。

聖人のお祭りを勉学に勤しみ過ごせという腹積もりらしい。

と、そこに一羽の白いメンフクロウが飛び込んできた。
足に、蝋封のされた羊皮紙を大事そうに抱え、フクロウはショーの頭の上にそれを落としたという。

ショーは蝋封に押された紋章を確認すると、急いで手紙を開封した。そしてその顔が見る見る明るくなった。
「おお、神よ。感謝いたします」
先生は小さく叫び両手を組んだ。おそるおそる挙手し『どうしたんですか』とたずねた生徒に、満面の笑みを向けた。

先生は、新しいお菓子作りが趣味。
『新しいお菓子作りコンテスト』セミプロの部で三年連続金メダルを受賞していた。
手紙は、四度目の受賞通知と、もう一つ何かとてもうれしい知らせだったらしい。
ハッフルパフ生はこぞってショーにおめでとうを言った。
惜しみない拍手を盛大に送った。
ショーの機嫌はにわかに回復した。
そして、来週末提出の中和剤は再来週末に〆切が延び、一人十巻き分の魔法薬学のレポートはグループ学習が認められた。


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