◎ チアーズ ◎
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(話の進行上、15禁表現が入ります悪しからずご了承ください)

「……」

足の裏の感覚がなくなった。

ぎゅうっと頭の芯が痛んだ。涙が出そうになった。

ブラックはなおも言葉を続ける。
慰謝料とか賠償金とか出世払いにしてくれれば言値だけ払うから。
「聞きたいことがある」
奴に背を向け私は尋ねた。
「どうしてそんなことを言う」
私のどんな振る舞いがお前にその行動を取らせた?
「……」
ブラックは何か考えているようだった。
彼はゆっくり私に近づくと、そっと腕を回してくる。
抱きしめられる。
「俺は、セブルス。お前のこと大好きだ」
「……」
でも、お前は?
「今回の件で、俺って、お前にとってなんだろうって考えた。そんで、迷惑なんじゃないかと、思ったわけだ。考えてみれば、一方的に俺が好きだ好きだ言ってるだけだからさ」

そんなことはない。
ああ、でも確かに私は、言葉に出したことはない。

言わなくても分かると思っていた。

好きでもない奴に体を自由にさせることを私はしない。
一日中やつのことを考えていた。時間を作ってそばにもいた。ルーピンに嫉妬する自分……。
だが、私が一日中奴のことを考えているなど、どうして知りえよう?
嫉妬は目に見えるかもしれないが、私はルーピンに、私のブラックに手を出すなと、一度も言ったことはない。素振すら見せたことはない。

行動で示せば伝わるなどと、私の勝手な思い込みだ。

シリウス・ブラックには、行動もそうだが、言葉で示してやる必要があるんだ。
奴は、それがないと安心できないんだ。
語ることで理解をする人間。それがブラックだ。

体の前に回る手に私は自分のそれを重ねた。

「いやだ別れたくない」

どくんと、背中に当たるブラックの拍動が強くなった。
「……なんで?」
「好きだからだ」
「……」
「私だってお前のことが好きだからだ」

ルーピンにシリウスをもらってもいいかといわれたとき、本気で殴ってやろうと思った。
「奴がポッターくらいの身長だったら実行していた」
手を解き、奴に向き直り、目を見た。
もう、肩で息をしている。頬が僅かに紅葉し、目が潤んでいる……。
暗色の瞳が真っ直ぐ私を捉える。まろやかな輝き。
「言わなくても分かると思ったのは私の勝手な思い込みだった。それは謝る。ブラック。ちゃんと言葉にせず、不安にさせて悪かった」
「……」
「お前が好きだ」
「……」
「好きだといっている」
「……」
「何とかいえ」
ブラックはいささか間抜けな顔になった。
その有様が可愛らしかった。
無性に口付けたくなる。
薄く開く唇に、私は自分のそれを重ねた。
「……」
ブラックは無言で私の頬を掴む。
ぐいっと、顎を鷲掴みにされ、口付けをされる。
口付けというよりは、大口で噛み付かれた。
舌をからませ、腕を、足も絡ませ、私たちは転がる。
押し潰された草の香りが鼻に届く。
ここは、外ではないか……。
「ブラック……」
「……」
「ここは外だブラック……」
ブラックには聞こえていないようだ。
軽く押し返すと何倍もの力で押さえつけられた。
奴は、呼吸を荒くしながら、ゴメン止まらない。そう言った。

陽も高い。森の枝が周囲の目を隠しているとはいえ外だ。

ブラックは私から着ているものを剥いでいく。
わたしは裸にされながら、茂みのほうへ移動をする。
茂みの隙間に潜りこむ。
ここはちょっとした緑の部屋。
差し込む陽光が植物の葉をとおり、優しい緑になっている。
「きれいだ」
私の肌に落ちる葉の影を撫でながらブラックは微笑む。
まだ服を着ているブラック。
私は口付けをしながら、ブラックを体の下に敷き、シャツのボタンを外した。
あらわになった首筋や、耳の下を吸うと、ブラックは少し肩をすくめる。
耳が弱いらしい。
耳を舐め上げ、ぬれた音を聞かせる。
首筋から胸へかけて、軽く歯を立てる。そうしながら手を伸ばし、奴へ、奴の勃ちあがり始めたそこを軽く掴んだ。
「セブルス?」
「たまにはいいだろう?」
訊ねるとブラックは顔を更に赤くした。
マッサージをする要領で、そっと揉む。その形をなぞりながら、時々ブラックが押し殺した声を漏らす場所で強く弱く指先をくねらせる。奴がしてくれたように足の間に顔を埋めると、ブラックは情けない声をあげた。
セブルスと名前を呼ばれる。
いきそうだと告げられる。髪を引っ張られ顔を離してくれと懇願される。
口の中で、奴が硬くなっていくのが分かった。先端から染み出してくる液体。
ぞくりと、甘い痺れたような震えが全身を駆け抜けた。
私の体をこれが通り抜けるとき、どうなるかを思い出してしまった。
最初は痛み、でも、そのあとで、ありえないほどの快楽をもたらすそれ。

ブラックの呼吸が荒くなっていく。

そして奴は私を自分から引き剥がすと、同じように私を掴み、激しく追い立てる。
一気に私は高まる。
声を抑えることが出来ず、意味のない母音の塊を叫ぶ
僅かな痛み。
ブラックの指が私の中に入り込んだ。
耳には届かない湿った音が私の中で響いている。
「……ふ……ぅん!」
指が私を狂わせる場所に当たる。少し乱暴にそこを押すブラック。
ここがいいんだなと、奴はぬれた声で呟く。そして指を外し、私の足を抱えあげそこ目掛け奴自身を打ち込んでくる。
一気に、迷うことなく。
痛みと快楽がない交ぜになって私をもだえさせる。

ブラックは私を自分の体の上に引き上げる。
つながった腰を強く抱く。
体の奥のほうに奴がいるのが分かる。
また、奴を放すまいと体が……締まっていく。
「……」
「……」
ブラックが、小さく息を吐き出すのを繰り返している。
そんなに締めるなよ。ささやかれる。奴も、気持ちがいいらしい。

「ブラック……私はお前が大好きだ」
「……」
「分かってるか?」
「ああ」
「こんなことをさせるのはお前だけだからな……」
「……」
「一日中お前のことを考えていた」
「……俺もだ」

ブラックが微笑んだような気がした。
私はそれきり何も言えなくなった。
奴が、つながったまま腰を動かしはじめ、私は、濃い快楽に理性を根こそぎ持っていかれた。
奴にしがみ付いて、大声で叫んで、何度も気絶し何度も目覚めた。

そのたびごとに、強くなる快楽。
ブラックの顔がとろけそうな柔らかい表情をする。

最後はどうしたろう……。

うっすら覚えているのは、ブラックの上にのり、自分で揺れながら、奴を高めた……ような……。


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