◎ チアーズ ◎
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(話の進行上、15禁表現が入ります悪しからずご了承ください) 森の泉はお気に入りの場所になった。 図書館に居るのにあきたら、ティ・セットをかばんにつめて、読みかけの本を持って出かける。 倒木が天然のイス、切り株がテーブルになる。泉のほとりは本当に静かで、鳥のさえずりと時折風が奏でる木の葉ずれが起きるだけ。とても静かで、とても美しい場所だ。 たまに、下草が不自然に倒れているときがある。 人が二人並んで座ったあとだ。 この跡から察するに、誰かがデートしていたらしい。 瞬間的にルーピンとペティグリューが浮かび笑みがこぼれる。 決して大柄ではない二人が手をつないで廊下を行く様は、ほほえましいものを感じさせる。 今では二人の熱愛ぶりは、ホグワーツではすでに公認になっていた。 ピーター・ペティグリューも素地は決して悪くない。 おどおど、びくびくしていないで堂々としていればなかなか見られるのに、奴はおびえた小動物のような目をする。 そこが気に入ったとルーピンは言うから、やつの好みは変わっている。 試験や試練の度ごとに、ルーピンはペティグリューを励ましている。 君はすごいことが出来る人だと言葉を掛け続けるルーピンのお陰で最近のペティグリューは輝いている。 「……」 「?」 今日は、声がした。 下草の倒れた、向こう、茂みの奥で誰かが小さくため息をついた。 そっと覗いてみる。 「しょーがないだろ?」 ポッターの声だった。 思わず隠れた。そして奴は誰と話しているんだろうと好奇心に駆られた。 「……」 覗くと、こちらに背を向け地面に座りこんでいるブラックと、ブラックに向かい立つポッターがいた。 ポッターは両手を腰に当て呆れ顔でブラックをみおろしている。 ブラックはポッターの言葉にため息を付いて両足を抱えて体を屈る。 奴の背中は淋しそうで覇気がなかった。 ポッターは一度目以上らしい言葉をはなつ。 ルーピンがピーターとキスしてたって、あいつらはお互いつきあってるんだからあたりまえのことだろう? それ以上のことしてたって別におかしなことじゃない。俺は驚かないね。 「おまえは何がしたいんだ?」 ピーターと戦ってルーピンを奪いとる気持がないなら、二人の行く末を見守るか、ふたりを見返すくらいお前も幸せになればいいじゃないか……。 「もう言わないからな?もう、いい加減にしてくれよな?ルーピンをピーターから分捕るか、新しい別の相手を見つけるか、それとも修道院にでも行って残りの人生を思い出の中で生きるか……好きなの選べ」 ポッターは言い捨ていなくなる。 ブラックは微動だにしない。 酷い、少し酷いと思った。 いくら親友でも、いくらブラックがうじうじしていても、今の言い草は奴がかわいそうだ。 ブラックはあんなに好きだったルーピンにきっぱりふられた。 好きだった分嘆きも深く広いはずだ。 親友だというなら、ポッターもブラックのぐちに思う存分つきあってやったらいい。 文句の一つも言ってやらなくては……。 「そこにいるんだろ?」 ポッターの後を追いかけようとして立ち上がったらそう声をかけられた。 「隠れてないで出てこいよ」 「……」 「それとも俺を笑いにきたのか?」 「……」 私は姿を現した。 ブラックは振り返りもせず言葉を続ける。 「俺がいつまでもお前のこと引きずってるなんて思わないでくれ」 間違われている……。 「俺といるよりピーターといるほうがお前、幸せそうだ。良かったって思ってるよ」 「……」 ブラックは間違えている? 私とルーピンを間違えている。 「幸せそうで良かった。それは確かに本当の気持だ。でも同時にお前を幸せにするのが俺じゃないってことがくやしくて悲しいだけだ。俺は好きな奴ひとり幸せにできない……おまえから一杯幸せを貰ったのになんにも……」 「……」 「もうちょっとうじうじさせててくれよ……もうちょっと、ちゃんと吹っ切るから。ちゃんとお前たちの目をみて笑っておめでとうって言えるようになるから……」 ……。 トランクを開いて私はお茶をいれた。 ブラックは周囲に広がった茶の香りに驚いてこちらを振り向いた。 「……スネイプ……」 「……」 目を剥いて奴は立ち上がる。 「おまえ……」 告白の相手が私だと気づき奴は一気に顔を白く、次いで赤くする。 「……」 何も言わず私はお茶をさしだした。 「なんのつもりだ」 「飲め」 「?」 「いいから飲め……」 「……」 おとなしくブラックはカップを受け取った。 私はテーブルと椅子をだし、食べようと持ってきた黄桃のタルトを乗せた。 「いいか?ここであったことは二人だけの秘密だ」 「……ああ」 「よし、ではこのテーブルに着くことを許可しよう」 「許可だと?」 「……いや、招待しよう。そうぞお席へブラックさん」 言い直すとブラックは席へ着く。タルトを切り分けフォークを差し出す。 奴は何が起きているのか?そんな顔をしていた。 私は、ポッターに片想いしたこと、告白したこと、そして完膚なきまでにふられたことを話した。 「信じらん……」 「信じられないか?私の話が?」 「いや、お前がジェームズを変えたってことがさ」 「?」 ブラックはグリフィンドール寮でのジェームズ・ポッターの朝の様子を話してくれた。 「朝いつもぎりぎりに起きてた奴がだ、三十分も早く起きて髪の毛整えたり、靴磨いたり、昨日なんかシャツにアイロンかけながら俺にチーフの色は何色がいい?なんて聞いてくるんだぜ?」 「チーフか……」 制服のホグワーツでは、ポケットに入れるハンケチや、ローブの下のブレザーの胸ポケットに入れるチーフでささやかなおしゃれをする。 「下着だって、デザインより素材重視で選んでた奴が、ハイマンクレイブの新作下着を取り寄せてつけてるんだ?」 ノーブランドの綿の下着が10枚130シックルとしよう。ブラックの言ったハイマンクレイブは一枚130シックル〜。 一世紀前から先端の男性用『勝負下着』のメーカーとして名高い。 「あんなものぐさな奴が……」 感心したようにいうブラックにきっかけは私が作ったのかもしれないが、その努力はすべてリリーのためだろうといった。 「うわ……意外」 「?何がだ?」 「お前のことだから『当たり前だ』くらい言うかと思った」 「……」 ため息を付いた私にブラックは「俺は誤解していた」といい「わるかった」と続けた。 ジェームズ・ポッターを魚に私たちは話し合った。 あとはくだらないおしゃべりだ。 お互い好きな服のブランドが同じことや、好きなお茶の銘柄が同じことや、好きな食べ物がことごとく被ったことや、あとは、肉の焼き方や、実家の話や、作法の話し。 「お前思ったより話しやすいセブルス」 「……セブルス?」 いきなりファーストネームを呼ばれた。 「ブラック」 「『シリウス』でいいよ。なあ、今週末ホグズミートに行くんだけどお前も来いよ?うまい紅茶を飲ませる店見つけたんだ」 生徒はほとんど来ない。知ってるのは紅茶好きの学生だけ。 「ディープな紅茶の話が聞けてたのしいぞV」 「ディープな紅茶の話し……」 オモシロそうだった。 シリウス・ブラックに誘われて、連れて行かれたのはどうみても宝石店だった。 「このウラだ」 と、ブラックは私を案内する。 宝石店の裏口を上がっていくと、細い木造の粗末なドアが現れた。 あけると、上級生が数人、テイスティングの真っ最中だった。 グリフィンドール、スリザリン、レイブンクローにハッフルパフ。寮に関係なくそろっている。 「セブルス・スネイプじゃないか……」 「ごきげんよろしゅう」 先輩に私は挨拶をする。その先輩は、特に目立った所のない、ごく普通の上級生だった。名前も知らない……。 ブラックは皆に私の紅茶好きを少し誇張して話した。要するに仲間に入れてくれといっていた。 「うーんでもな……」 「彼を入れると奇数で、パイを切り分けるときに少し大変なんだ」 ブラックは食い下がる。そして、とうとう『実力を見てみよう』ということになった。 スリザリン寮生にはスリザリン寮生ということで、彼とテイスティングをすることになった。 彼は、すばらしい鼻の持ち主だった。 香りをかいだだけで、銘柄を当てる。 私も負けてなどいられない。父の仕込みのお陰で私も紅茶には少々うるさい。 8つのカップの銘柄を次々当ててゆきお互い最後の一つで迷った? この香りはかいだことがない。まだ未成熟の様なのにとても深い甘い香りがする。 私たちは銘柄を答えられなかった。 お茶を入れた先輩が皆にもと飲ませる。皆首をかしげる。 「これは俺がブレンドしたお茶だ。まだ名前もついてない、わかるはずないよ」 なんでもそうだか、人は時に謙虚で素直であるべきだとその先輩は言った。 知ったかぶりして適当に答えた日には、帰ってもらうつもりだったと彼は言った。 「ようこそホグワーツ紅茶同好会へ」 「……え?『紅茶を愛する紳士同盟』だろ?」 「『紳士同盟』じゃ女の子の入部希望者が入れないだろ?」 などとを言い合う先輩たちの横でブラックは私をみてウインクして親指を立てる。 なんだか、知らないうちに入部してしまったような気がする……。 毎週誰かしらがここでお茶会を開き、研究し、レポートをまとめ、新ブランドを生み出すという。 その『紅茶開発クラブ』に入部してしまった私は毎週ブラックに誘われホグズミートに通うことになった。 ディープな紅茶の話をたくさん聞いた。 ダージリンにベルガモットをブレンドしたマグルのアールグレイ伯爵は実は鼻が利かなかった、そのせいで香りを楽しめなかったからアールグレイが生まれた、など、本当かウソかわからないが楽しい話が聞けた。 紅茶という共通の趣味ができて、私とブラックは会うことが多くなった。 主に新ブランドの紅茶の話し、そして、服のブランドの話し。宿題のレポートや、実家のこと、いろいろ話し合った。 シリウスはルーピンのことを言わなくなった。ピーターにあっても明るく挨拶をしている。 ふっきったらしい。 「これやる」 と、森の泉で新作ブレンド茶の披露をしていた私にブラックが蓋付きマグカップをくれた。 「まだあけないでくれ」 「?」 「部屋に帰ったらあけてくれ」 とブラックは何時になく、よわよわしく呟く。 その日の奴は上の空で具合でも悪いのかと、私はそうそうにお茶の話を切り上げた。 このところ暑かったからな、バテたのかもしれないな……。夕食のときも上の空だった。 でもルーピンには普通に話しかけていたから、ルーピンがらみではないだろう。 明日の準備をして、もう寝ようとベッドに入った。 そこで昼間貰ったカップを思い出し。ふたを空けた。 ぽわんと桃色の煙が上がる。 そして、その煙の中に小さなシリウス・ブラックが現れる。 「突然こんな手段で伝える俺の意気地のなさを許して欲しい」 ? 黙っているとちいさなブラックは言葉を続ける。 『セブルスお前が好きだ』 「?……ええ?」 はじめは大嫌いだった。お難くて、細かいことにうるさくて、伝統と格式が服を着て歩いてるようなおまえがうざくてうざくて大嫌いだった。でも話をしてみると、よく気の付く優しい性質の奴だってわかった。自分の信じること、いいと思ったことは、いいと認めて、考えを貫き通す意思の強さをもっているやつだってわかった。 「何時もきちんとした身なりで、きちんと人の話を聞いてくれて、そして笑顔が……お前の笑ってる顔に惹かれて行く自分に気付いた」 後ろからした声に振り返ると、ブラックが窓辺に立っていた。 『今夜、お前の所にしのんでいく。俺を受け入れてくれるなら窓の鍵はあけておいてほしい』 「セブルス」 ブラックが近づいてくる。髪を後頭部でくくり、エメラルドの髪飾りをつけている。 眉も整えている。カップの中のシリウス・ブラックはぽわんと消え、代わりに真っ赤なビキニのぱんつが……。 「……ブラック、まて、待ってくれ、私は今これを聞いたんだ……だから……」 ブラックは両手を広げる。ローブの下は、正装をしていた。 ホワイトタイは最上級の礼を尽くすべき相手に対し締めるもの。コルトコヴィニヨンの最新モデルに身をつつみ、ああ、ポケットに刺してあるチーフはやつの髪飾りとおそろいのエメラルド色。靴はエナメルで……申し分のない紳士だ……。 思わず見とれてしまった。 その間にブラックは私の足元に膝を付き、手をとり、キスをする。 貴婦人に対しての最高の挨拶。ちょっと間違っているが、マナーはあっている最高だ。 薔薇の花を一輪取り出し奴は私に差し出す……。我に返った。 きびすを返そうとして足を掛けられ転がされた。私の上に乗ってくるブラックを押しのけようとするが、ダメだった。 「ブラック、やめろ!やめてくれ!たのむから」 「セブルス」 耳元ででささやかれ全身の力が抜けた。甘い声だ。思わず力の抜けた所をキスをされた。 執拗なキスだった。時に軽く、時に深く、そして舌を絡ませ、ブラックは私をあおる。 首の付け根に震えが起きる。奴が舌をからませ、歯でこちらの舌先を甘咬みするたびに、ぞくりと体が振るえ、頭がぼうっとなってゆく。 隙をつかれてねまきを脱がされる。ブラックはくっと己の服を引くと、冗談のように服が、外れた。 服は空に持ち上がり、綺麗にたたまれ椅子の上に。そんなものを見ている間に私の体にブラックの唇が、手が……。 「……ぅ〜〜」 ブラックの手が、やんわり足の間でうごめく。 「俺に任せてくれ」 そういう言葉に頷いた気がする。 「……」 首筋や鎖骨や膨らんでいない胸の先を吸われ、声がもれて………。 足の間に頭を沈め、ブラックは丹念に私を責め立てる。奴のほおの柔らかさを、指の硬さをいやというほど味わった。 何も考えられなくなる。 生暖かいとろりとした感触に我に返ると、いつの間にか臀部を持ち上げさせられている己の姿に気付いた。 あ、何か塗られている……。乱暴に前をつかまれ悲鳴を上げた。動くと痛いぞの言葉に体がすくんだ。 後ろからのしかかってくる男は、そっとこちらの耳たぶを噛む。息を吹きかけられうっと体が反応して、力を抜いたその間を狙ったように何かが入ってくる。 「まだ指だから」 「……」 「動かすよ」 「……」 体の内側を弄ばれる……。ブラックは執拗に体の中をまさぐる。 「……っ」 指がある一点に当たった。 「ああっ」 形容押しがたい、甘い痺れが体中に広がってため息とともに叫んだ。 ぐいっと押され体がはじける。はしたなく叫び、口を閉じると急所を押され……。 何がなんだかわからないうちに私はそれに翻弄されていた。 足の先まで神経が通っているのがわかった。びくりと反射刺激のように足の指が動く。 鈍い痛みに気が付いたら、指ではなく奴を受け入れていた。 とろけるような顔をしてブラックは息を乱している。 体の中でうごめき成長するそれが、再び私の意識を奪う。 ゆりかごを揺らすように奴は私を揺らす。そのたび走る稲妻のような刺激に何度か気絶しなんども目覚めた。 私とブラックはともに一夜を過ごした。 |
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