週番(ピーター・ペティグリュー)
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■ 三日目 ■(ピーター・ペティグリュー&セブルス・スネイプ2) 三日目。 僕は校内の見回りをやる。 ジェームズとシリウスはクィディッチの練習。 ルーピンは図書室で調べ物。 いつもは絡んでくる上級生も、同級生も、僕を慕ってるふりをしている下級生も今日は僕を遠巻きにみているだけだった。 おかしいなと思った。いつもと違う……。僕を見送るみんなの目は、何か心配そうなものをみるものだった。 ? 後ろを振り返るけど何もない? もしかしてビーブズのイタズラ? 僕が前を向いているときだけ何かが何かをしている? ……何度か振り返るけど、なにもない。 僕は急ぎ足で見回りを終える。 たいした事件もなく無事に見回りを終えて、ほっと一息ついた。 「ペティグリュー」 と呼ばれた。 ふりかえったらスネイプが立っていた。 「忙しいところすまないな……」 「あ、あの、昨日の袋ならジェームズに渡した……けど」 「ああ、ありがとう。そのことではないんだ」 スネイプはあたりを伺いながら、少しいいか? といって、近づいてくる。 僕は……、スネイプが怖い。 ジェームズもリーマスも、はっきり喋る人は皆怖い……。 後ずさりすると、スネイプはそこで立ち止まり、困ったような顔をして笑った。 「……そう警戒するな……単刀直入に言うとな、お前に頼みがある」 ピーター・ペティグリュー、おまえに頼みがある……。 「……」 聞き間違いだと思った。 あのスネイプが僕に頼みごと、なんて。 スネイプがよかったら歩かないか?というので歩いた。 スネイプと二人並んで、廊下を歩いた。 遠巻きにみる人の顔には、さっき僕を見ていたひとたちを同じ表情が浮かんでいた……。 「もし良かったらお茶をのみに来ないか?この先の私の温室まで歩いてもらうことになるが」 「……」 「いや、またにするか……図書館から見下ろせる中庭の噴水まで移動してもいいか?」 「……う、うん」 スネイプは無言で歩く。だからぼくも黙って歩く。 中庭の噴水へたどり着く。 スネイプは僕に向き合ってもう一度言った。 頼みがある。 「もちろんただとは言わない。頼みを聞いてもらうのだからそれなりに礼を考えている」 「……」 「お前が監督生として行う仕事、不得手とする部分をそれとなく手伝う……どうだ?」 人やものを探したり、注意を促したり……。そういうことを僕に代わり、皆に気付かれないようにやってくれるとスネイプは言った。 「……」 親衛隊をつれて颯爽と道を歩き、シリウスと大声で言い争いをしても一歩も引かないスネイプが、ジェームズをひとにらみでだまらせるスネイプが、僕のパシリ? 彼はスリザリンだからとか、なにかたくらんでるんじゃないかとか……そういうことは思いつかなかった。 ジェームズやシリウスやルーピンと互角に「美しい」とたたえられるスネイプが、僕の手足になって動くという言葉に惹かれた。 「僕に、できることなの?」 「もちろんだ」 スネイプは笑ってそしてこういった。 明後日ここで人と待ち合わせをしている。 グリフィンドール寮生だ。その者の後をつけて、どこの誰かを確かめてもらいたい。 「とても勘のいいやつだ……だから、同じくらい勘が良くてすばしっこいお前でなければつとまるまい」 「え?」 「案ずるな。何をしようというわけではない。ただ、どこの誰かを突き止めてもらいたいだけだ」 スネイプは笑い、ふと顔を上げる。つられて顔を上げた僕の目の前には、窓からこちらを見下ろすルーピンがいた。 「他言無用、内密にたのむ。誰かがおまえにたずねたら、『ある生徒のことで相談を受けた』といってくれ……」 いいすてスネイプは頼んだぞと眉間に皺を寄せて言い放ち、ローブを翻して歩き出す。 「ペティグリュー、よかったら茶を飲みに来ないか?」 もちろんお前の友達と一緒に……。 寮へ戻った僕はルーピンにスネイプと何を話していたのか聞かれた。 スネイプに言われたように『ある生徒のことで相談をうけた』と答えたら、シリウスがああ、あいつのことかって言いながら、膝を叩いた。 「あいつって?」 ルーピンが僕の疑問を口にする。 「例の一年坊主だろ?」 「スネイプに付きまとってる?」 ジェームズが左肘をさすりながらシリウスへ。 「親衛隊が追い返してスネイプにあわせないようにしてるみたいだけど、スネイプも迷惑してるのか?」 「……」 ジェームズの問いに僕はあいまいに笑って答えた。 そうか守秘義務があるもんなとジェームズは呟く。 そんなもん、ここだけの話ってことで独り言呟けよとシリウス。 「シリウス!ピーターをおどさない!」 「……でもよ……」 「いいから、ほら、今日の分のくすり」 ルーピンはめっとするようにシリウスを睨みつけ、瓶をとりだし、すりきり一杯なかみを匙に掬う。 「どうする原液そのまま飲む?」 「やめてくれ!そんな恐ろしいこと」 「じゃあ、ごめん、ピーターお願いできる?」 「え?」 「シリウスにかぼちゃジュースを注いでもらえないかな?」 僕のベットの下にあるからとルーピン。 ルーピンは……。顔は可愛いけど、整理整頓がニガテみたいだ。 物が少ないけど私物が雑然と並んでいる。 僕は言われるままに、ルーピンのベッドの下を探って、かぼちゃジューズの瓶をだす。 中身をグラスに注いでシリウスへ。 「さんきゅう」 シリウスの持つグラスにルーピンは薬を入れる。 黄色いかぼちゃジュースがみるまに茶色になる……。 シリウスはうわ〜と言う顔をしながら薬を一気に飲み干す。 「まずい……」 「しょうがないでしょっ」 なぐさめるように背中をたたくルーピン。 「……」 ふたりは、本当に仲がいい……。 見ているこっちがあきれるくらい……。 ……。仲がいい。 |
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