週番(シリウス・ブラック)

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■ 七日目 ■

(代理ピーター・ペティグリュー)
えーと、今日からの週番は一日繰上げでジェームズになりました。
ジェームズの周りにはシリウスの時と同様、人が集まっていました。
本当の監督生より監督生らしいと言われジェームズは苦笑いをしていました。
「騒動の芽は育つ前につぶせ」
と呟くジェームズは、あちこち歩き回っていろんな人に声をかけていた。
どうして、こういうことになったかというと、それはシリウスが熱を出したからです。

夜中にルーピンがさけんだ気がして目が覚めた。
「シリウス、シリウス」
悲鳴に近い声を上げるので飛び起きて出て行った。
枕元のランプが灯色の光をともしてる。
その輪の中でシリウスが遠目からでも分かる大粒の汗をかきながらベッドに横たわっている。
ルーピンはとっても長い髪の毛をしている。栗色でまっすぐで、解くと足の先までとどくくらい長い髪の毛。ふだんは三つ編みにしているけど寝るときは編まないで箱を用意してそこに髪を入れて寝ている。髪の毛を振り乱してルーピンはシリウスの名前を呼んでいる。
「どうした」
とジェームズが起きてくる。
「いきなり苦しみ出して……」
というルーピン。いいながら彼はねまきの前をあわせる。
顔色は血の気を失ったまっしろなのに、唇は湿って紅い……。
ジェームズはシリウスの手をとりじっと見ている。
両手の指の先が緑色がかってがさがさになっている。
襟元からのぞく首筋や筋肉の張ってる胸板も、緑色の斑点と赤い斑点が……。
「はしか……?」
いきなり高い熱が出て、体に斑点……僕はとっさに言っていた。
「いや、はしかは緑色の斑点は出ない」
「マダムを……呼んでくる」
とルーピンが走り出す。ぼくはジェームズに言われて後を追った。
夜中に、まっくらな廊下を髪の毛を引きずりながら走っていくルーピン。冷たい石畳の上をぺたぺた足をさせて走っていくルーピンがなんだか怖かった。
マダム・ポンフリーを起こして部屋まで連れて行く。
部屋に戻るとジェームズがシリウスのベッドの下になにか入れていた。
マダムはシリウスのもとにかすかに、鼻を引くつかせている。
「これは……アレルギーのようね」
とマダムはシリウスの両手を眺めている。
杖を振るってマダムはシリウスを宙に浮かせて連れてゆくからといい、ルーピンに目を留めて、あなたたちは何を食べていたの?と訊ねる。
「……ボンボンです」
ルーピンはいった。
親戚から頂き物をしたとシリウスがボンボンの箱を出してくれた。
みんなには明日あげるけど、その前に二人で味見をしていたらしい。
「そのボンボンの箱はどうしました?」
マダムが聞くと、ジェームズがシリウスのベッドの下から包み紙と空き箱をだした。
二列なくなっている。
マダムは箱とシリウスを連れていなくなる。
夜中にお菓子を食べるのはそれは規則違反じゃない。
でもお菓子はウイスキーとブランデーボンボンだった。
マダムの鼻は、かすかなアルコールのニオイを感じた。
ジェームズはアルコールはマズイと思い隠した……。
朝になってマクゴナガル先生からシリウスがパールラディッシュのアレルギーで熱を出したことを聞いた。お菓子のことは何もいわれなかった。でも先生は一日繰り上げになりますがと、僕らを見渡して言った。
「ジェームズ・ポッター、今日から七日間あなたに週番を任せます」
「……はい」


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