週番(シリウス・ブラック)
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■ 四日目 ■

俺は監督生にはむいてない。
他人を注意したり先生に引き渡すたび額の後ろがもやもやする。
オモシロそうなことをしようとしてるやつをなんでとめなきゃいけない?
命に関わる程度でないちょっとくらいの危ないことならどんどんするのがいい。
俺はそうおもってる。
だからこの所からだの中がなんだかもやもやしてきもちわりい。
柄にもないことしてるから、胃のあたりまでもぞもぞしてくる……。

今日は早朝鶏の大声で叩き起こされた。
リーマスが『監督生代理』というから俺は様子を見に行った。
クックデュルデュー、クックデュルデュー、鶏は叫ぶ。
音源のへやの周りに人が集まってるので俺は監督生代理特権で部屋のドアを開ける。
うわ。
部屋一杯に広がった一羽の雄鶏が羽をばたつかせながら叫んでいる……。
部屋の中の奴らは頭から毛布をかぶって耳を押さえている。
俺は杖を鶏に向けて「縮ませ」呪文をかけた。
しゅううううと鶏が縮んで普通のサイズになる。
コケコッコー、コケコッコー。
普通サイズで時の声を上げる。一人が紙縒りを作って鶏の口を縛る。
静かになったところで俺は聞いた。
「この鶏の持ち主はだれだ?」
「……」
「……」
「……」
「……」
部屋の住人はいっせいに一人を指差す。
「z〜」
一人だけ豪快に寝ている奴がいる……。
顔を見るとそいつはスネイプにほれた酔狂な一年坊主だった……。
この騒動の中、ヤツはゆすっても、くすぐっても起きない。
毛布を引っぺがし、床に落としてようやくそいつは目を覚ました。
「あ……」
「『あ』じゃねえ……朝から何騒いでるんだ?」
そいつは小さく叫んで俺に今何時ですかと聞いてくる。
「朝の四時半だ……」
「ああ、遅刻……」
「遅刻?」
そいつは約束があるからといきなり着替え始めた。
おれはやつの手を掴んで事情を説明させた。
スネイプの温室の(またスネイプだ!!)虫取りをする約束をしているという。
でも自分は寝起きがとても悪いので遅刻をしないように特大の目覚まし(雄鶏?)を準備した……。結局目が覚めず俺に起こされて目が覚めたっていうけど……。
コレはどうしたらいいんだ……。
とりあえず皆には後に謝らせることにしてそいつには虫取りに行かせた。
皆には騒ぎは収まったからといい、解散させる。
怒って俺に苦情を言ってくるやつを一瞬殴り倒したい気分になったが、ぐっとこらえて宥める。
ああ、朝っぱらから……。朝っぱらからうんと働いた……。
今日は授業休んで寝てたい気分だ……。
部屋に戻ると、ジェームズは不機嫌な顔で紅茶を飲んでいる。
リーマスはねまきのままソファに横たわり、眉間に皺を寄せて天井をみている。
リーマスは一回目が覚めたら眠るのに時間が掛かる……。
ああ……。リーマス、物凄く機嫌の悪い目をして天井を睨んでる……。
どうしよう……。
とりあえずそばに寄った俺に、リーマスは、まるでショー先生が機嫌の悪いときにするように細めた目で俺を見据え、シリウス足が痛いという。
そういうから足を揉んでやる。
ジェームズがシリウスは朝からひざまづいて奉仕活動か……と呟きながら自分のベッドに戻る。
「……あ……痛……気持ちいい」
リーマスは呟く。息を止めてときどきソファを殴る。声を殺してもだえている。
「ん……あ」
と時々リーマスが悩ましげに吐息を吐き出すので……俺の手は震えた……。

今日はもう朝のことしか印象に残ってない。
「足が軽くなったよ、シリウスありがとう」
リーマスは言い、機嫌を直して笑ってくれたので俺はすごく幸せだ。
監督生代理、雑用ばっかで、ストレスたまるから、本当はもう、やめようかと思ったけど、もうちょっとがんばれそうだ……。


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