週番(シリウス・ブラック)
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■ 二日目 ■

今日は天気はいいが、その分遠出して行方不明になる一年坊主が何組も出た。
一組目は湖で大烏賊退治(ごっこ)をしていて大惨事になるところだった。
たまたま大烏賊が昼寝をしていたので、ボートで近づいていった一年坊主の刺した干草用の鋤に暫く気付かなかった。俺が彼らを回収して岸へもどった時に烏賊は鋤を振り回して暴れ出した……。
危なかった。
無茶しやがる奴らだぜ……。
マクゴナガルに引き渡してやれやれと思っていたら、別の組が西の塔で助けを求めているという。
ビーブズに閉じ込められたらしい……。
西の塔の使われていないフクロウ小屋に外から箒で近づいて一人一人助け出した。
かさかさに乾いた糞まみれの一年坊主たちを見ていて、昔のピーターを思い出した。
ヤツとは最初の頃はイタズラを競い合う仲だった。
俺にはしなかったが、ジェームズやリーマスには水やら花やらを投げつけてきたり、穴に落とそうとしたり、一年生のときのヤツはそれなりにやんちゃで、面白そうなヤツが出てきたと思っていた。でも、大きめの服を、丈を詰めて着ているリーマスをバカにする態度が癇に障っていた。どうしてそんなに大きな服を着てるのルーピン?服を買い換えるお金を節約してるの?と無邪気なフリで利くピーターの俺はむかっ腹をたてた。
あるときリーマスにクソ爆弾を投げてきたピーターを捕まえて塔に閉じ込めた。
上からヤツの嫌いなナメクジを落としてやったっけ……。そんなことを思い出した。
その出来事からピーターは人が変わったようにおとなしくなった。
おとなしくなって、俺たちの顔色を伺うようになったんだっけ……。
もうちょっと骨のあるやつだとおもってた。
まあ、俺はピーターがやんちゃでもそうじゃなくてもどっちでもいい。
三組目はスネイプに掴まっていた。
ヤツの温室に忍び込んでやつが育てたパール・ラディッシュを引っこ抜いて、変わりにマンドレイクを植えてるところを見つかった……という。
「パール・ラディッシュとマンドレイクの葉は酷似している。気付かずぬいていたらどうするつもりだった?」
「……」
「……」
一年坊主たちはスネイプを前にして震えていた。
奴らはスネイプに恨みがあるわけじゃないんだろう。
多分奴らはスネイプが嫌いな誰かにそそのかされたんだと推測がついた。
「お前たち、グリフィンドールの一年生が私にどんな恨みがあるのかは知らない。だが」
スネイプはそれに気付かないのか?震える奴らを見据えたまま押し殺した声で言い放った。
「男子たるもの売られた喧嘩は買うものだ……。耳栓ナシでマンドレイクを抜いたらどうなるか……体験させてやろう……」
危険なイタズラ。
それも知らなかったとはいえたちの悪い、悪意を疑われても仕方ないイタズラ……。
あやまるしかなかった。
俺が、一年坊主共々ヤツに頭を下げて二度とさせないよう言い聞かせると約束させられ、授業でもないのにマンドレイクはどういうものかを言わされて……ああ、思い出しただけでもイライラが湧く。
でも俺のそんな態度が良かったのかスネイプは目をむきながらも俺に免じて水に流すといった。
でも耳栓をして植えたばかりのマンドレイクを鉢に移して、パール・ラディッシュを植えなおして、ついでに他の畝の雑草抜きを手伝わされた。
終わったらスネイプは俺たちにお茶をご馳走してくれた。
季節外れの苺もくれた。一年生はスネイプに礼をそして詫びをいい、スネイプはこれはブラックに免じてのことだから次はあるとは思うなと機嫌悪く言い放つ。
「ところでお前たちにここへ来るよう言ったのは誰だ?」
打って変わって優しい風を装うスネイプに一人が口を滑らせる。
スネイプはそやつの誕生日は五月だったなと呟いた。
俺は聞かないフリをした。
この問題は当事者でカタをつければいい話だ。
売られた喧嘩を買うスネイプをとめる理由は今回は俺にはない。
焼いた苺にキューブに切ったカステラをあえて練乳をかけたものを土産に貰った。
皆で食えというから一瞬悩んだが寮に帰って出したらリーマスは大喜びだった。
「スネイプのお菓子おいしから……」
にこにこしながらリーマスが言う。
食の細いリーマスがスネイプのヤツの作るものだけはぱくぱく食べる……。
……。……。……。
リーマス……スネイプのこと……どう思ってるんだ?。


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