週番(シリウス・ブラック)
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■ 三日目 ■ 昨日に続いて忙しかった。 性懲りもなく大烏賊に戦いを挑むアホを捕獲。 昨日の一年坊主だ。 「どういうつもりだっ」 つい、ネクタイを掴んで怒鳴った。 一年坊主の目に涙が湧く……。 赤と黄色のストライプのネクタイ。 勇猛果敢がウリのグリフィンドール寮生だが三十倍も体の大きさのちがう生き物に干草用の鋤で戦いを挑むなんて無茶だ。 昨日も減点されたのに、また減点される……。まあその分取り返せばいいんだろうが、 どうして烏賊を狩るのか、その理由を聞いた。 一年坊主は、泣いている。 怒鳴って悪かったと謝って(おれは人を宥めるのは向いてない…と思い知る。)、どうして怒鳴ったのかの理由を説明してもう大きな声をださないからと、やさしく訊ねた。 大烏賊の目玉がどうしても必要だとそいつは言った。 大烏賊の目玉を好きな先輩にプレゼントする。 好きな人へその人の欲しがっているものを奉げる。 それは一番シンプルな愛情表現だ。 気持はわかった。 「でも危ないことはするなっ」 好きを告げる贈り物なら、他のものでもいいはずだ。 「プレゼント、一緒に探してやるから……」 どの先輩が好きなのか聞いてみた。 一年坊主は頬染めて、先輩の寮はスリザリンなんです。そういった。 スリザリン……。嫌な予感がした。 案の定やつの口からはセブルス・スネイプの名前が……。 「どこが好きなんだ」 『あんな気取ったやつ』喉元まででかかった言葉を飲み込む。 一年坊主はさらに赤くなってスネイプ先輩の気高いところ……(気高い?)が好きだといった……。 大烏賊の目玉は無理だろうけど、スネイプだったら人手を探していることを教えてやる。 昨日お茶のときに、明日は畝を鋤いて新しい薔薇床へ肥料を入れるとかなんとか言ってた。 一年坊主は俺にありがとうと叫んで走り去った。 ……。 ヤツはスネイプの温室の場所を知ってるんだろうか? ま、いいか。分からなかったら聞きにくるだろうし、俺にはまだやることがある……。 あちこち見回って、救出したり、釘を刺したりして、暫くして昼がきて、昼が過ぎて、夕食時になった。 例の一年坊主はぼんやりした顔でピンクのミニバラを胸に刺している。 スネイプは何時の涼しい顔でスープを食べている。 食後に一年坊主がやってきて俺に礼を言う。 あしたもお手伝いに行くんだと一年坊主は楽しそうに言う。 一年坊主が嬉しそうなのはいいんだけど、その相手がスネイプ……ってのが……なんかなあ……。 ジェームズとリーマスが一年坊主と俺を眺めながら首をかしげる。 ジェームズはすいっとスネイプにも視線を向けてもう一度一年坊主を見やる。 一年坊主は俺に礼を言った後、スネイプに走りよっていく。スネイプは眉ひとつ動かさないでいつもの気取った仕草で『そうか』と言っている……。 ジェームズの目がぐっと細くなる。手の中でスプーンがぐっと握られてゆらゆら揺れている。 リーマスがジェームズ、どうしたの?と訊ねるとジェームズは、ああ、ちょっとむかつくことがあってと答え席を立った。 先に帰ると言い捨て消えるジェームズ。 「ジェームズどうしたんだろう……」 ピーターが不安そうにいう。リーマスがなんでもないよ。ジェームズはちょっと虫の居所が悪くなっただけだよ……と優しく言う……。 ピーターは安心したのかデザートのショコラをぱくつきだす。 リーマス、リーマスはやさしい。 思わず見とれるとリーマスは目を上げて俺に自分の食べているシュークリームを半分くれた。 |
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