◎ ホグワーツ学生日記 ◎
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■ 虎とマンゴーとナシ ■(ジェームズ・ポッター)

クィディッチの練習中、ブラッジャーが顔に当たりめがねが壊れたので保健室へ向かうところだった……。
近道のつもりで温室のそばを通りかかったら、スネイプが倒れていた。
びっくりした。
抱え起こしたら、ぼんやり赤い顔をして、にやっと笑った……。
吐く息から甘い匂いがする。そしてツンと鼻を突く、まるで酔っ払ったようだ……。
「どうしたの?」
「サボテンから樹液を採っててその匂いで酔った」
けらけらと笑うスネイプを抱え、まさか彼の寮にも保健室に連れて行くわけには行かないから、自分の寮にもどった。
酔った人間はトラに例えられるが、スネイプもそうだった。
陽気に大声で笑い、そして触ってくる。顔や頬を抓ってくる。
自寮にもどるとシリウスが呆れ顔でスネイプを眺めていた。
「酒じゃないよな?」
言いながらベッドの用意をしてくれるシリウス。
「お前がこっそり酒なんか飲む分けないもんな」
「今更酒くらいで酔うものかっ」
スネイプはふんと息を吐き出し嘯く。
「ブラックも私も八歳位から乾杯用のシャンパンの洗礼を受けている」
シリウスやスネイプなど、旧家の出の人々は、ニューイヤーやクリスマスなど改まった席などでは必ず乾杯用のシャンパンを口にする。結果、アルコールに慣れ、未成年だが酒豪になる(酒豪の卵?)確立が高くなるという。
ピーターは酔って陽気なスネイプに恐れをなしてシリウスのベットの陰に隠れている。
酩酊。

サボテンの樹液で酩酊したスネイプは俺をつかみながら何か大声でまくし立てている。
「マンゴーが食べたい!!」
「ええ?」
「マンゴーはないけど梨ならあるよ?」
ルーピンが言ってくれたがスネイプは差し出されたみずみずしい梨を見てむっと頬を膨らませる。
「……いやだマンゴーが食べたい!!」
「マンゴー今ないから梨剥くね?」
「アップルマンゴー、なければペリカンマンゴーでいい!!……」
「マンゴーはないの。梨剥けたから〜〜」
小さく切った梨を、ルーピンはスネイプの口に突っ込む。スネイプは文句を言いかけ、でも梨を食む。
おとなしくもごもご口を動かしている。さすが、だだをこねる人間の扱いを心得ている。
ごっくんと梨を飲み下しマンゴーの「マ」の言葉が出る前にルーピンはまた梨を口元に……。
一個分の梨を食わせながらルーピンは「マンゴーは明日の朝ね〜」とスネイプをなだめる。
「……」
シリウスが杖を握りつぶしそうな勢いでスネイプを、スネイプの口元に梨を運ぶルーピンを見ていた。ピーターは恐れをなして自分のベッドから出てこない……。
梨を食わせながら俺はスネイプからネクタイを取って、ベストを脱がせて、……シャツ一枚にした。梨を食わせてスネイプを寝かしつける。抱き枕が欲しいとまた駄々をこねるスネイプに俺は自分の箒を小さくして差し出した。箒を抱え、俺のベッドで寝るスネイプ。ふと見ると、ルーピンがシリウスに桃を剥いて食わせてやっていた。
さすが、拗ねる人間の扱いに慣れている。
「明日の朝スネイプにマンゴーね」
とルーピンが言うので、俺は厨房に出かけていって、籠一杯のマンゴーを貰ってきた。途中、フィルチさんのネコにあうが何とか逃げる。枕元にマンゴーを置くと、スネイプはうっすら目を開けて微笑んだ。マンゴーを一つ取って、握らせてやる。ありがとうとスネイプは唇だけ動かす。

……。
起き上がって、頬を撫でられ、唇にキスをされた……。
お前は本当に綺麗だ。
と、微笑みながら言われた……。
正直に言って、どきどきした。
杖は机の上。
ルーピンはシリウスをあやすので奴の陣地に行っていている……。
密室をつくろうと思ったらそれはわけない……。

スネイプが俺を引っ張って、俺を抱き枕にする。

俺のファーストキスはスネイプに奪われたんだ……。
なんて考えついたらよけに落ち着かなくなった。でもスネイプはマンゴー片手にすうすう寝ている……。
俺をひとり残して奴は寝ている……。でも、顔を撫でたらううんと反応して、なんとも扇情的な目でこっちを見る……。

今夜は、眠れなさそうだ。


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