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「悪かった」
シリウスはうなだれている。
彼が持ってきた僕の服を着ている間、スネイプに何か言われていたシリウス。
「俺が悪かった」
裸で放り出すなんてことして本当に悪かったとシリウスはもう一度言った。
「もういいよ……あれは言葉のあやだったんだ。裸で放り出されたほうがマシなくらい恥ずかしいって言うつもりだったんだ……」
「……」
「ごめんねシリウス……でも見られてるだけで触られてもいないのにすごく気持よくなってるなんて変でしょ?」
「……いや変じゃない」
俺がそう仕向けたんだとシリウスはまじめな顔で言う。
それが可笑しくて僕は笑った。
緊張で顔が強張って少し不自然な表情になっていたと思う。
僕は言った。
シリウスが望んでくれるなら僕はそれに答えたいと思うと。
シリウスは手を伸ばし、僕を抱きしめ感慨深げに僕の名を呼んだ。
リーマスと。
そして続けた。リーマスお前が好きだ。
「大好きだ」
「僕も」
僕もシリウスが……好き……。
頬を寄せてくるシリウスは許してくれるかとたずねてくる。
僕はうんと返事をしながら、注意事項を列挙した。
歯で噛み切る恐れがあるからキスは僕が正気のときにして欲しい。
僕がシリウスの首筋に唇を寄せたら危険だから僕から離れること……。
そして爪で傷つける恐れがあるか手袋をはめるということ。
「手袋か……分かった」
シリウスは微笑みいう。
「リーマス……」
細めた目で見据えられ名前を呼ばれる。
抱きよせられゆっくりとシーツの上に寝かされてゆく。
「まって、シリウスカーテン、カーテンを閉めて……」
ベッドのカーテンをめぐらせて密室をつくって欲しい。
「……ああ、分かった」
ついでにしっかり魔法もかけておくからとシリウスは杖を振って呪文を唱えた。
密室が出来上がる。
シリウスはふうと笑ってゆっくりとキスをしてくる。軽く唇に触れるだけのキス。最初のキス。
「……」
貰ったばっかりの手袋をはめてもらいながら、まだ見られてもいないのに僕は息が荒くなっていた。

見るだけであんなにも心地いい酩酊をくれるシリウス。
シャツの裾から手が入ってきて、おおきな手のひらでみぞおちをなられ、思わず声が漏れた。

ああスネイプ本当に、好きな人がいて、その人にこれ以上なく丁寧に扱われるのはとても幸福なことだね……。

シリウスの背中に手を伸ばし僕は眼を閉じた。
目を閉じていても分かる、シリウスが僕の体を見てため息を漏らした。傷だらけのこの体を見てきれいだと呟き本当にそう思っていること。
負いかぶさってくる彼の体温が心地いい。
唇に落ちる温度が、やわらかさが心地いい。
一番心地いいのは、シリウスが僕を見ているということ。
視線に撫でられ、僕は酔っ払ったようになる。何をされる前から気持ちよくなってしまう。


カーテンの中の出来事は僕とだけのシリウス二人だけの秘密。


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