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新しいカップルの誕生を見届けジェームズは談話室に下りて行く。 待ちくたびれたのかピーターは、羊皮紙の上に突っ伏してよだれをたらして眠っている。 「……」 つかれた。 これで自分が結びつけたカップルは何組めだろうと、ジェームズはぼーーっと思った。 大きく伸びをすると、首筋と背骨が音を立ててなる。 ぐうう〜〜と腹の虫が鳴く。 時計を見上げると、寝る時間まであと三十分あった。 今夜は、やけ食いしたい気分だった。 といってもお菓子のストックがあるわけじゃない。 だからこっそり、キッチンへ行くことにした。 『太ったレディ』を起こさないよう抜け穴から外に出る。 と、珍しい人物がグリフィンドール寮の外にいた。 「良い夜だ……」 スネイプが腕を組み、肖像画脇の壁に凭れ立っていた。 「……」 初めて『キサマ』かという顔をされなかった……。 表情は硬いが声の雰囲気は柔らかい。 ジェームズは嬉しくなって挨拶し返そうとした。 「季節外れだが新入生かな?」 そう言われ、ジェームズは自分が眼鏡を外したままなのに気づいた。 おいおい、うそだろう……。 スネイプは自分が誰だか分からない? 「……まあいい。託を頼まれてくれないか?」 「……」 スネイプは自分が、彼の毛嫌いしているジェームズ・ポッターだと気づかない様子で話しかけてくる。 懐から手提げ状にした灰色のハンカチをとりだす。 「知っているかもしれないが、グリフィンドールのリーマス・J・ルーピンに渡してくれ。なかみは何かという顔だな。ふっ心配するな。私はスリザリンだが、毒物や劇物ではない。何かは本人に渡せばわかる」 こちらに口を開く暇を与えずスネイプは用件だけ言うと帰っていった。 「……」 ジェームズはその後姿を憮然と見送る。 スネイプの姿が完全に見えなくなったのを確認し包みを開いた。 中は羊皮紙を加工して作られた袋が二つ。飴と、チョコレートが手紙つきであった。 先週様子が変だったが大丈夫かということと、もし、野蛮人のシリウスがおかしな真似をしたらこの飴を食らわせるがいいということ。 チョコを食らえば嫌な気分など吹っ飛ぶ、とある。 随分と、仲良しじゃないか……。 いつのまに二人は、スネイプはルーピンを気遣うほど仲良しになったんだ? 俺なんて、素顔にさえ気づいてもらえないのに……。 新入生かとスネイプはのたまった。 あんなに目の敵にしている自分の顔さえ記憶にないなんて……。 あれがわざとならたいした嫌がらせだがスネイプの場合は本気だ。本気で天然が入っている。 「……」 ジェームズは無言で包みをあけ薔薇の形をしたチョコをつまみ口に放り込んだ。 「なんだよ……スネイプ……」 イライラとこみ上げてくる気持ちは治まらず、ジェームズは夜の廊下でチョコを噛みながら一人、なんだよをくりかえした。 (Ca 了) |
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