◎ white heart's (ホワイトハーツ) ◎
)()(3)

ぽたTOPへ

親衛隊は私とポッターの様子をただ遠巻きに眺めているだけだった。私が三ヶ月だけ友達づきあいをすることにした、といったら反対者が続出したが、三ヶ月だけのことだと言い含めた。

三ヶ月だけ。

そう。最初はそのつもりだった。
三ヶ月だけ。
ほんとうにそのつもりだった。

ポッターは思っていたより、いやな奴ではなかった。
普通のどこにでも居るような少年だった。
あの映画の一件以来まともに顔を見れない私に、奴は狼狽し、許しも無く口付けをして悪かったとわびてきた。

「もう、二度とはするな」

いいつつも私はあのときのことを思うと、胸が高鳴る。

それから私の目は、いつ、どこに居ても何をしていても、ポッターを探すようになった。

ジェームズ・ポッター。
ポッター、ジェームズ……。

ジェームズと心の中で呼べは、私の胸は痛む。
甘い、しびれるような幸福感を伴って、涙がにじむ。
くるしい。どこに居ても何をしていても奴の顔がちらついて、とうとう夢の中まで現われる。
夢の中の奴は、怒っていた。

君は俺のこと、下僕と思ってない?

奴はそういい、背中を向ける。

夢の中の私は、その背中を追いかけて、すがって跪いて許しをこうている。

奴は私を振り払いそのまま、去ってゆく。

「……」

眠れない。

怖い夢を見るから、怖くて、怖くて、眠れない。

体重が落ち。自分が痩せていくのが分かった。
ジェームズは心配してくれ、どうしたのかと訊ねてくる。

「……眠れない」
「なんで?」
「怖い夢を見る」
「どんなゆめ?」
「……いえない」

お前が怒って私から去っていく夢を見るから、怖くて眠れないなんて、夢を見続けていればそれが現実になる気がするから、怖くて眠れない、なんて。

「ポッター、許してくれ。あの時は、本当に悪かった」
「?」
「私を好きなお前に、お前なんかと仲良くするつもりはない、なんて、私はなんて酷いことを言ったんだろう」
「……いいよ、べつに、もう気にしてないから……」
「怒ってないか?」
「怒ってなんかないよ、今はむしろ良かったと思ってるよ」

苦しい思いもしたけど、こうして今は、前よりも君に近いところにいる。

「だからそんなこと気にしないで……ね?来週はいい天気らしいから、久しぶりに薬草でも摘みにいこうか?」
「……」
うなずく私の頭を彼は撫でた。

そして私は、自分から友達関係三ヶ月延長を申し出た。

次の三ヶ月は、ブラックとルーピンも交え集団で遊びに行った。
奴等はほんとうにすきあっていて、一緒に居るときはほとんどずっと手をつないでいた。
ルーピンはブラックに触っていると安心する、ブラックもルーピンに触っているとすごく幸せなんだと、恥ずかしげも無くいう。

うらやましいと思った。
そういうふうに想い合える相手がいること、すでに獲得していること。

私もほしいと思った。
私の……隣に座る彼を。

三ヵ月後、私は彼を呼び出した。

ひざが震えた。
息をすることも、苦しかった。
でも、言わなければならないと思った。
この行き詰まる緊張に耐え、ジェームズも私に告白をした。

「私は、お前が、好きらしい」
「それは、友達として……それとも」
「ルーピンとブラックのように……たぶん私は、お前に恋している……どうか、私のものになってくれ。私をおまえのものにしてくれ」
「……信じられない」
ため気と共に吐き出されるジェームズの言葉に打ちのめされる。

それは、そうだろう、もっともな意見だ。
泣きそうになったがそこは堪えた。
今まで私が彼にしてきたことを思えば、同じことを言われても言い返すことなど出来ない。

「もっともな言葉だ。まず、三ヶ月だけ、私に付き合って恋人づきあいをしてくれないか」
「え……いや、そうじゃなくて、俺が言ったのは、君も俺のこと好きになってくれたのが、嬉しすぎて信じられないってことで、……お試しなんていわないで、ずっと、一緒にいようよ」
「……」
「ルーピンとシリウスがやきもち焼くくらい仲良しでいようよ?」
「……では」
「好きだよ、スネイプ……ううんセブルス」
「……」
「なんで、泣くの?」
「う、うれしくて……わたしも、すきだ……」
「『ジェームズ』ジェームってよんでよ。俺も君のこと、セブルスって呼んでもいい?」
「もちろんだ、ぜひそう呼んでくれ……ジェームズ、私もおまえが好きだ……」


)()(3)

ぽたTOPへ